コンピュータとネットワークは、日々の生活のなかでなくてはならない基盤的 な道具となっています。インターネットを使って、情報を収集し、様々なサー ビスを受け、あるいはコミュニケーションを行うことができます。このような 便利さとともに、様々な危険も増えています。コンピュータウィルスが蔓延し、 コンピュータ内の重要な情報が持ち出される事件が多発しています。また、偽 のWeb サイトが開設され、クレジットカード番号などの重要な情報を誤って入 力してしまい被害にあうこともあります。
本書は、一般の利用者向けに書かれた、コンピュータセキュリティーの読 みモノです。コンピュータウィルス、フィッシング、スパイウェアなどの簡単 な説明、そして基本となる対策が分かりやすく書かれています。100ページほ どのものですので、ちょっと時間の空いたところで一読するだけでも良いでしょ う。
軍事、行政、外交の分野で、通信の秘密を守ろうという努力は、非常に古 くから行われて来ました。そして、通信の秘密を守る方法の重要なものが暗号 です。本書は、暗号の発展を古代から現代まで追い、またそれに関わる人物を 追った物語です。
暗号の歴史は、暗号を開発する側とそれを破ろうとする側の戦いの歴史で もあります。本書では、Caesarに始まる文字を置き換える方式の暗号が、破ら れるたびに複雑化し、第二次大戦で使われたEnigumaに至る歴史を追います。 Enigumaに至って、その暗号解読にコンピュータが現れます。
暗号は、暗号の方式と暗号化の鍵で構成されます。この鍵をどうやって秘 密裏に共有するかが大問題です。とくに、現代のようなコンピュータとネット ワークの時代では。本書の後半3分の1は、この鍵配布の問題から、コンピュー タ通信で使われている公開鍵方式、そして量子コンピュータ、量子暗号へと進 んでいきます。
単なる歴史だけでなく、暗号方式の具体的内容、さらに暗号解読の問題ま で付いています。もしかして、教科書にも使えるかもしれません。